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  • 2019/4/1
  • 環境教育体育

「外来生物」~よそから来た生きもの~

 前回お話した生物多様性、生きものどうしの「つながり」を人間が壊してしまっているという問題のひとつが外来生物です。授業のなかで子どもたちに「外来生物ってなあに?」と尋ねると、「あのね、外国から来た生きもの!」と返ってきます。「うーん…正解だけど百点ではないかなぁ」。そこでカブトムシの写真を見せ、「じゃあ、これは外来生物?」子どもたちに迷いが見えますが、「外来生物だよ!だって本州から来たもん」と正解を教えてくれる子もいます。
 ペットにするため、毛皮をとるため、釣りを楽しむため、薬を作るため、食料にするため…。様々な目的のために、僕たち人間は野生動植物を他の地域へと安易に連れ出し、用が済んだら捨て、野外で繁殖した彼らによって問題が起きると、捕獲してその命を絶っています。「なんのために? 誰のために? 誰がここに連れて来たんだっけ?」
 “駆除する”“殺す”“やっつける”…。生命に関わる問題はとても繊細で、授業で使用する言葉の選び方ひとつにも注意が必要です。でも子どもたちには現実を知ってもらう必要があると思っています。まずは人間がいかに身勝手な生きものなのかを知り、それから考える。今、僕たちにできることはなんだろう?
 「入れない・捨てない・ひろげない」という外来生物被害予防三原則の他、授業で必ず子どもたちに話していることがあります。それは「伝える」こと。「もしかしたら、おうちの人もカブトムシが外来生物だって知らないかも知れないよ。大人も子どもも関係ないの。知っている人が知らない人に伝える。そうすると少しずつかも知れないけど、人間の身勝手で駆除されてしまう外来生物が少なくなるんじゃないかな?」
 次に学校を訪れた時、「こないだね、家族みんなにカブトムシのことを伝えたよ!」と嬉しい報告が待っていたりします。
 すぐに成果や効果が見えるものではありません。もしかしたら、何も変わらないかも知れません。それでもコツコツのんびりと、地域の子どもたちとともに、野生動物を追いかけ続けてみようと思っています。

洞爺湖で捕獲したミシシッピアカミミガメ
(ミドリガメ)
特定外来生物のウチダザリガニは、
飼育や運搬等に規制がかかっている。