いきものいんくの想い

 環境省で働いていた頃、僕はたくさんの生きものを殺していました。外来生物の駆除です。1日で1,000匹ものウチダザリガニを殺したこともあります。一方で、傷ついて飛べなくなったワシやタカなどを保護し、獣医師に送り届けるという命を救う仕事もしていました。「救われる命」と「うばわれる命」。はたして僕たち人間にそんなことを決める権利があるのかなぁ…。いつも疑問でした。外来生物の駆除には様々な意見がありますが、多くの命を救うために、僕は必要だと思っています。でもそれだけでじゃなく…

人間の身勝手でうばわれる命を少しでも減らす方法は…?と考えていました。毎日、たくさんの命をうばいながら。たどり着いた答えが「これからの未来を背負う子どもたちに現実を伝えること」でした。現実を知り、考える。「今、自分にできることはなんだろう?」一人でも多くの子どもに“考える機会”を提供すること。身近な自然や生きものに興味をもてるよう、一粒でも多くの種をまくこと。これがいきものいんくの役目かなと思っています。

そしてもうひとつ。なにかと規制やルールだらけの現在において、川で泳いだり、木に登ったり、野生動物を手に取って観察したり…しかも、できるだけ自由に。それで子どもたちがたくましく育ち、「野生児」になってくれたら嬉しいなと。「自分がすることは自分で決める」、「自分のことは自分でする」、「自分がしたことは自分で責任をとる」。これを実行できるよう、これからもたくさんの子どもたちと関わっていけたらと思っています。

NPO法人 いきものいんく代表 加藤 康大